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聖学院アトランタ国際学校(セインツ)
大切にしたい日本の伝統、もちつき


読者のみなさまの中で、小学校時代に実際に杵と臼でもちをついた体験をされた方はどれほどいらっしゃるでしょうか。それほど多くはないのではないでしょうか。それがここアメリカ、アトランタにあって、毎年行われている小学校があります。聖学院アトランタ国際学校(セインツ)です。

おもちをつくのは一人五回、二つの臼で次々に交代してついていきますから、幼稚部、小学部合わせても一時間ぐらいで終わってしまう短い行事です。でも実はこのもちつき、準備にかかる時間と労力は結構なものなのです。日ごろの保育、授業で忙しい学校での行事となると、なおさらです。臼と杵の準備、あんこ作り、買い物、もち米研ぎ、ふきん、はっぴ、シートなどの用具の準備、と念入りに整えなければなりません。当日は朝から保護者の方が何人も、お手伝いに来てくださってやっと出来る行事です。もう来年はやめたらどうか、という声が出た年もありました。

ではどうして毎年続けるのでしょう。子どもたちはこの五回のもちつきを本当に楽しみにしているのです。幼稚園児はお母さんかお父さんと一緒に杵を持ちますが、一回ついて笑みがこぼれます。二回ついて笑い声が聞こえます。一緒に杵を持っているお母さん、お父さんも満面の笑顔になります。そして、クラスに戻ってつきたてのもちをクラスメイトと頂きます。クラスには子どもたちの笑顔があふれ、そばで見ているお母さんお父さんもとびきりよい笑顔になります。セインツでは子ども、保護者、教職員をまとめて「セインツファミリー」と呼んでいますが、セインツファミリーが一つになって、この行事を成し遂げた喜びを味わう瞬間です。

臼に書かれた文字に目を留めました。「贈 聖学院小PTA 1991年10月」と書いてあります。セインツがアトランタに創立されたのは1990年9月ですから、もちつきの行事は学校創立して間もなく始まったのでしょう。子どもたちがもちをつき終えて、お父さんたちが臼を校舎内に持って行くところを見ました。二人がかりで手押し車によいしょ、と載せて運んでいました。タイルの上に置いてある臼を押してみましたが、全身の力を込めて押さないと、ちょっとやそっとではびくともしないほど重い臼です。アトランタの地に創立されたセインツのために、多くの人の手を経て、長い船旅を経て、やってきた臼なのでしょう。

これまでこの臼でもちをついた園児、児童はどれだけの数に上るでしょうか。もうお母さん、お父さんになった子どもたちもいます。アメリカに住んでいる子ども、日本に帰った子ども、それ以外の国に住んでいる子ども、セインツでもちつきを体験した子どもは世界中に散らばっていますが、みんなこのもちつきの体験を忘れた子どもはいないでしょう。今までセインツの歴史と一緒に歩んできたもちつきの行事を支えて下さった方々、本当にありがとうございます。心から感謝いたします。これからも、もちつきの行事を、またセインツを、どうぞよろしくお願い申し上げます。