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Law


移民法・雇用法ニュース
H1B抽選とその後の対応

2018年4月6日に2019年度のH1Bビザ申請の受付が終了しました。H1Bには一般枠として6万5千枠と米国の修士・博士号取得者用の2万枠の合計8万5千枠が設けられていますが、本年度は初週におよそ19万件ほどの申請がありました。このうちおよそ9.4万件は普通枠の申請で9.6万件がマスター枠の申請でした。申請者数は2年連続で低下傾向にあり、今年の当選確率はおよそ40%くらいだと予想されます。なお、H1B枠で新規申請者のプレミアム特急申請が4月から9月末まで一時的に中止されているため、審査結果がわかるのは早い人で5月、遅い人で9月末くらいになるとおもわれます。当選した人には受領通知書が送られ、落選した人には申請書類と申請費用がそのまま返却されます。H1Bの抽選に当選した人は書類の審査にはいり、申請が承認されれば10月1日の就労開始となります。では、審査期間中はどのような対応をしたらよいのでしょうか?


OPT自動延長


F1学生の場合、H1Bに当選したら、受領通知書を大学のインターナショナル・オフィスにみせれば、10月前にOPTが失効しても、OPTの期間を9月30日まで自動的に延長してもらうことができます。OPTの自動延長についてI-20 に明記されますが、新しい就労カードを申請するものではないので、自動延長期間中は国外への旅行は極力さけたほうがよいでしょう。OPT期間中に90日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。


STEM/OPT延長


H1Bが却下された場合は、その時点で自動延長されたOPTも失効します。ただし、STEM(理数系)に該当する専攻分野の学生であれば、OPTをさらに24ヶ月延長することができます。OPTを24ヶ月間延長するには、雇用主はこの期間の研修目的を明確にした研修計画書を作成し、OPTの延長申請書に添付して申請をします。また、雇用主がE Verifyに加入することも条件です。STEM学生はOPTを合計で36ヶ月申請できるので、この間最多3回までH1Bを申請することもでき、またこの間に永住権を申請することも検討できます。追加24ヶ月のSTEM-OPT期間は60日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。


OPT猶予期間


OPT期間終了後の猶予期間(Grace Period)中にH1Bを申請した人は、H1B開始の10月1日までの期間は米国内に滞在することはできますが、就労することはできません。その間一旦米国を出国したら、F1/OPTの資格では入国できなくなりますので、注意が必要です。


枠免除カテゴリー


非営利団体の大学機関、非営利団体の大学機関と連携プログラムがある機関(たとえば、大学からインターン生をうけいれている病院など)、もしくは政府や民間の非営利のリサーチ団体などは、H1Bの年間枠の制限をうけませんので、年中いつでもH1Bを申請することができます。また、H1Bはフルタイムでもパートタイムでも申請できます。枠免除の雇用主がH1Bを申請すれば、枠免除の雇用主のもとで就労が続く限り、枠該当の雇用主も第2雇用主としてH1Bを申請することができます。ただし、この場合、枠免除の雇用主との雇用関係が終了すれば、枠該当の雇用主での雇用も無効となります。枠該当の雇用主が単独でH1Bをスポンサーするためには、翌年の年度枠で新たにH1Bを申請しなければなりません。


H1B落選


抽選に漏れてもOPT就労カードがまだ有効であれば、その有効期限まで米国内で就労することができます。その後の選択肢としては、OPTの猶予期間失効前に国外にでるか、もしくは米国内でその他の滞在資格へ変更するかになります。例えば、学校の他のプログラムに再入学してF1学生滞在資格を延長する、B2観光ビザ滞在資格へ変更申請、もしくは一旦日本にもどりESTAで再入国する、などの選択肢があります。専門的な職務経験のある人で、雇用主がEビザの条件を満たしていれば、Eビザ申請を検討することもできるでしょう。また、米国外の関連会社で1年勤務をして、1年後に関連会社間転勤用のLビザを申請するオプションもあります。研修目的であれば、米国外の大学をでて1年間の関連経験があれば、J1研修ビザを申請することもできます。米国外の大学をでていなければ、米国外で5年間の関連職務経験が条件となります。また、アメリカでの研修に関連する学歴や職歴がない場合は、H3研修ビザの申請を検討することもできるでしょう。ただし、H3はJ1とは異なり、教室内での研修が主体となるため、実地研修は最小限にとどめなければなりません。その他にも、カナダ・メキシコ人であればTNビザ、オーストラリア人であればE3ビザの申請も検討できます。また、チリ・シンガポール人にはH1B普通申請の6.5万枠の中から6,800枠が別枠として設けられているので、これらの国籍保持者であれば、この枠がなくなるまでH1Bの申請も可能です。


執筆:大蔵昌枝弁護士
Masae Okura | Partner
Taylor English Duma LLP
© Masae Okura - Copyright reserved.


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About Writer

大蔵昌枝弁護士

東京外国語大学中国語学科卒業。サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールのJ.D./MBA ジョイント・ディグリー課程卒業、法律博士 (Juris Doctor) および経営学修士 (MBA) の学位を授与される。在学中は、会計監査、法律文書レビュー、外国人学生の移民法関連アシスタント業務などに従事。
2004年にジョージア州弁護士資格取得。
Ogletree, Deakins, Nash, Smoak & Stewart, P.C. 法律事務所、Baker, Donelson, Bearman, Caldwell & Berkowitz, PC 法律事務所、フィッシャー・ブロイルズ法律事務所に勤務の後、2017年8月にTaylor English Duma LLP法律事務所にパートナーとして移籍。雇用法・移民法など日系企業に関わる法律相談。日系のメディアに雇用・移民法記事を掲載。移民法講義やセミナー講師を務める。

著書: アメリカの陪審制度と日本の裁判員制度、陪審制度の発展と意義 (出版社:エディックス ) ”日本図書館協会選定図書” "The American Jury and the New Japanese Judicial System" The Historical Development of the U.S. Jury System, February 10, 2011