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Law


移民法・雇用法ニュース
永住権の新しい申請手順

雇用主スポンサーや家族スポンサーによる永住権の申請にはそれぞれ年間発行枠が設けられており、申請するカテゴリーや申請者の国籍によって待ち時間が異なってきます。毎年10月に新しく発行枠が設けられ、この発行枠を使い切った時点でその年度の申請受付はおわります。昨年9月に10月からの新しい待ち時間が発表されましたが、ほとんどの枠の待ち時間に変更はなかったものの、中には大幅に後退した国もあります。例えば、F1枠、つまり、米国市民による未婚の子供の永住権スポンサー申請に関しては、メキシコ国籍者の優先日が10年ほど後退し、待ち時間が12年以上になりました。また、雇用スポンサー申請では、フィリピン国籍保持者の第3優先枠の優先日が5年ほど後退し、待ち時間が8年以上になりました。インド国籍保有者は2年ほど後退し、待ち時間が6年半以上に延びました。

昨年10月からの待ち時間発表とともに、新しい申請方法も発表されました。今までは、国務省のウエブサイトのVisa Bulletinにそれぞれの申請枠の優先日、つまりPriority Date(“PD”)が発表され、自分の優先日がきたら、永住権申請を提出することができました。Priority DateとはLabor CertificationもしくはI-140/I-130を申請した日のいずれか早い日をさします。ところが、今回の改正でPriority Date がFiling Date とFinal Action Date の2種類に分かれました。Final Action Dateとは従来の申請書類を提出できる日を指し、また永住権申請中にPriority Dateが後退して順番を待っている人であれば永住権を承認してよい日を指します。一方、新しく設けられたFiling Dateとは、自分の審査の順番が回ってくる前に、永住権の申請書類を提出してもよい日を指します。従来の方法だと、待ち時間が長いために米国内での滞在資格が失効して仕事が中断したり、一旦国外にでなければならなくなる申請者もいました。今回の改正措置により、米国内で審査の順番を待っている申請者もより早く永住権の申請書類を提出できるようになったため、順番待ちの間も合法滞在資格を維持・確保できる可能性が高くなり、またこの間も就労許可証や旅行許可証を使って仕事を続け、国外への旅行もできるようになりました。

家族スポンサーによる永住権申請に関しては、2016年2月のVisa Bulletinでは、永住権保持者が配偶者や子供(21歳未満)の永住権を申請する場合、Final Action Dateまでは1年半ほどの待ち時間がありますが、その日を待たずに、およそ9ヶ月ほど早めのFiling Dateに申請書類を提出できるようになりました。

雇用主スポンサーによる永住権では、卓越した研究者、科学者、芸術家、また日本の関連会社から派遣された上級管理職が使う第1優先枠には、2016年2月時点ではいずれの国籍にも待ち時間がありません。科学・教育・ビジネス分野で有能な能力をもつ外国人や大学院以上の学位保持者、もしくは米国に有益な貢献をするもの(National Interest Waiver)に該当する第2優先枠には、中国とインド国籍保持者以外には、永住権申請に待ち時間はありません。プロフェッショナル職(一般に大卒)や 熟練・非熟練労働者のいずれかに該当する第3優先での申請の場合は、日本国籍保持者であればFinal Action Dateまでの待ち時間は4ヶ月ほどあるものの、Filing Date までの待ち時間は1ヶ月をきっています。ただ、現時点ではLabor Certificationの審査時間が6ヶ月以上かかっており、この間にすでに順番はまわってくることになるので、待ち時間は実質ゼロです。同じ第3優先枠でも、中国籍保持者は審査までの待ち時間が3年4ヶ月ほど、フィリピン国籍保持者で8年以上、インド国籍保持者で11年半以上ありますが、それぞれ1年ほど早いFiling Dateに申請書類を提出できるようになりました。現時点において 永住権の申請(I-485)自体は比較的早く4ヶ月ほどで審査されているようです。審査が早く終わった場合、Final Action Dateをまってからグリーンカードが発行されます。

永住権の待ち時間は随時変更しているので、国務省のウエブサイトhttp://travel.state.govのvisa bulletinのPriority Dateを随時確認し、Filing Dateの優先日がきたら速やかに書類を提出する準備をしたほうがよいでしょう。

執筆:大蔵昌枝弁護士
フィッシャー・ブロイルズ法律事務所


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About Writer

大蔵昌枝弁護士

東京外国語大学中国語学科卒業。サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールのJ.D./MBA ジョイント・ディグリー課程卒業、法律博士 (Juris Doctor) および経営学修士 (MBA) の学位を授与される。在学中は、会計監査、法律文書レビュー、外国人学生の移民法関連アシスタント業務などに従事。
2004年にジョージア州弁護士資格取得。
Ogletree, Deakins, Nash, Smoak & Stewart, P.C. 法律事務所、Baker, Donelson, Bearman, Caldwell & Berkowitz, PC 法律事務所に勤務の後、現在は、フィッシャー・ブロイルズ法律事務所に勤務。雇用法・移民法など日系企業に関わる法律相談。日系のメディアに雇用・移民法記事を掲載。移民法講義やセミナー講師を務める。

著書: アメリカの陪審制度と日本の裁判員制度、陪審制度の発展と意義 (出版社:エディックス ) ”日本図書館協会選定図書” "The American Jury and the New Japanese Judicial System" The Historical Development of the U.S. Jury System, February 10, 2011