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Law


移民法・雇用法ニュース
理数系 (STEM) 学生のOPT期間延長

アメリカで大学を卒業した人であれば、卒業後は通常プラクティカル・トレーニングという研修資格で就労をすることができます。プラクティカル・トレーニングにはCurricular Practical Training (“CPT”) とOptional Practical Training (“OPT”) の2種類がありますが、これらは学位取得を目的とする学校にフルタイムで9ヶ月以上在籍した学生が申請できる就労許可です。

CPTとは、大学の授業の一環として単位取得を目的とする就労、もしくは就労経験が学位取得のために必要な経験であると認められた場合に申請することができるものです。CPTで就労するには、事前に大学の所属学部とインターナショナル・オフィスのDesignated School Official (“DSO”) の許可を得る必要があります。CPTはパートタイムでもフルタイムでも申請できます。CPTをフルタイムで12ヶ月間以上利用した場合、OPTの申請資格を失うので注意が必要です。

OPTとは、学生が大学の専攻分野で実践的経験を積むことを目的に与えられる就労許可証です。OPT を利用すると一回に複数企業に勤めることもできますが、勤め先が変わる都度に学校のインターナショナル・オフィスに報告しなければなりません。卒業前の90日前から卒業後の60日までの間にOPTを申請することができます。最長期間は12ヶ月ですが、卒業前にもOPTを申請することもできます。例えば、学期中は週20時間までOPTで働くことができます。夏休み・冬休みなどは週40時間まで働くことができます。ただし、卒業後は、卒業前に使ったOPTの期間を差し引いた残りの日数分だけのOPTしか申請することができません。OPTは学位毎に申請することができるので、学士レベルで申請した後、修士号、博士号を取得する度に新規にOPTを申請することができます。

卒業後も引き続き米国に滞在するには、OPT終了後の60日の猶予期間(グレイスピリオド)が切れる前に、F-1滞在資格(I-20)を延長する、もしくは観光や就労ビザを申請するなど、何らかの滞在資格を維持する必要があります。OPT中に大卒者が利用する主な就労ビザにはH-1Bビザ(専門職)が挙げられます。H-1Bには85,000の年間枠(内2万件はアメリカの修士号以上取得者用)があり、ここ数年は年間枠を大幅に上回る申請者がいたために、申請受付開始の4月1日から5営業日で申請受付は締め切られています。申請者は無作為の抽選にかけられ、当選したもののみが、審査されています。当選確率は年々下がっており、今年は一昨年度の50%、昨年度の30%をさらに下回ると予想されています。

H-1Bの抽選に当選した人は、H-1Bの申請中にOPTが失効しても、H-1Bの開始日である10月1日までOPTの期限を延長することができます。これはOPTのキャップ・ギャップ・エクステンションという措置で、移民局に申請書類を提出する必要はありませんが、H-1Bの受領通知書を学校のインターナショナル・アドバイザーに提示し、I-20にH-1Bの自動延長の旨を記載してもらいます。自動的に延長された期間は、H-1Bが却下、拒否、もしくは取り消された時点で終了します。

この他にもScience, Technology, Engineering, Mathematics (STEM) など理数系専攻の学生であれば、OPT期間をさらに17ヶ月間延長できます。したがって、本年度H-1Bの抽選に当選しなかったSTEM学生は、来年度もH-1Bを申請できるというわけです。17ヶ月の延長を申請する条件として(1)STEM分野で学士、修士、博士の学位を取得済みであること、(2)OPT就労資格で米国雇用主のもとで専門分野と関連した職務に従事していること、(3)雇用主はE-Verify 雇用資格確認システムに登録していることです。また、雇用主は学生の解雇や帰国を大学のインターナショナル・オフィスに報告する義務があります。

尚、3月にはSTEM学生のOPT延長に関する法律に変更があり、本年度5月からはSTEM学生のOPTの延長期間が17ヶ月から24ヶ月に伸びます。新しい法律では、STEMの追加延長を申請できるのは米国教育省の認可をうけ、かつ、学生・交換訪問者プログラムに承認された学校に限定されます。また、雇用主はSTEM-OPT期間の学習目的を明確にし、正式な研修プログラムを作成しなければなりません。研修計画に変更が生じた場合は、変更点について報告をしなければなりません。さらに、米国社員の雇用を守るために、STEM-OPT学生の雇用が米国社員の職を奪うものであってはならず、また、STEM-OPT学生の待遇は、同職の米国社員より劣るものであってはなりません。STEM-OPT期間は最低でも週20時間は勤務する必要があります。

注意すべき点は、最初の12ヶ月のOPT期間中に雇用が90日以上中断すればOPTが失効してしまうことです。また、追加24ヶ月のSTEM-OPT期間は60日以上(つまりOPT全36ヶ月間に合計で150日以上)雇用が中断すれば、OPTが失効してしまいます。したがって、OPTが失効しないように、雇用中断期間が規定日数を超えないように心がけることが大切でしょう。

執筆:大蔵昌枝弁護士
フィッシャー・ブロイルズ法律事務所


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About Writer

大蔵昌枝弁護士

東京外国語大学中国語学科卒業。サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールのJ.D./MBA ジョイント・ディグリー課程卒業、法律博士 (Juris Doctor) および経営学修士 (MBA) の学位を授与される。在学中は、会計監査、法律文書レビュー、外国人学生の移民法関連アシスタント業務などに従事。
2004年にジョージア州弁護士資格取得。
Ogletree, Deakins, Nash, Smoak & Stewart, P.C. 法律事務所、Baker, Donelson, Bearman, Caldwell & Berkowitz, PC 法律事務所に勤務の後、現在は、フィッシャー・ブロイルズ法律事務所に勤務。雇用法・移民法など日系企業に関わる法律相談。日系のメディアに雇用・移民法記事を掲載。移民法講義やセミナー講師を務める。

著書: アメリカの陪審制度と日本の裁判員制度、陪審制度の発展と意義 (出版社:エディックス ) ”日本図書館協会選定図書” "The American Jury and the New Japanese Judicial System" The Historical Development of the U.S. Jury System, February 10, 2011