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Law


移民法・雇用法ニュース
グリーンカードの申請方法

リーマンショック以来、短期就労ビザの審査が大変厳しくなっていますが、新政権発足と同時に就労ビザの審査がさらに厳格化し、また、就労ビザスポンサー企業への監査体制も強化されています。一方、グリーンカードの申請に関しては、数年前まで5~7年の長い待ち時間があった申請枠でさえ、最近ではインド、中国、フィリピン以外の国籍保持者の待ち時間がほとんどなくなっています。日本国籍者であれば、審査に問題がなければ、現時点ではおよそ1.5~2年ほどで全審査過程が終了しています。


グリーンカードの申請方法には、大まかには家族スポンサーによる申請、抽選永住権による申請、雇用主スポンサーによる申請、自己申請、亡命者による申請などがあります。雇用主スポンサーによる永住権の申請には5つの優先枠があります。第4優先枠は宗教活動従事者・その他特殊なケース、第5優先枠は投資者による申請ですが、ここでは第1、2、3優先枠の雇用主スポンサーによる永住権の申請について説明します。


第1優先枠には、Extraordinary Ability (EB1-1), Outstanding Researcher (EB1-2), Multinational Manager (EB1-3)の3つのカテゴリーがあります。


EB1-1は、申請者が科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツなどの分野で世界的に傑出した業績をあげ、その分野でトップクラスの技能者が対象です。例として、ノーベル賞やアカデミー賞受賞者、オリンピックメダリスト、画期的な発明者、などがあげられます。国際的レベルの賞でなければ、その他証拠を最低3つ提示します。例えば、国際・全国レベルの賞受賞、専門団体会員、研究内容の出版・発表、他の研究者の研究内容審査、申請者の研究に関する記事、企業・団体での指導的役割、並外れた報酬、学会・業界への貢献度など申請者の研究成果に関する証拠提示が求められます。


EB1-2は、研究能力や業績が国際的に評価され、その研究分野で最低3年間の教職もしくは研究経験があり、さらに大学で教職、もしくは研究機関や私企業でこれに匹敵する研究職に従事することが条件です。研究内容の卓越性を証明として、例えば、研究業績に関する賞受賞、専門団体会員、研究内容の出版・発表、他の研究者の研究文章への引用、他の研究者の研究内容審査、学会・業界への貢献度などの証拠を最低2種類提出します。


EB1-3は、日本人では主にLビザやEビザ派遣の国際管理職が対象となりますが、海外の関連会社で渡米前の3年間の内1年以上の上級管理職経験があり、アメリカでも上級管理職として赴任していることが条件です。


第2優先枠は科学・教育・ビジネス分野で有能な人材、もしくは大学院以上の専門職に従事する人が対象となります。その他にも、アメリカの国益に貢献する者に対してNational Interest Waiver (NIW)という枠も設けられています。


第3優先枠は学士号保持者、 熟練・非熟練労働者など、上記のカテゴリーに当てはまらない人が対象となります。


尚、上記のうちExtraordinary Ability (EB1-1)とNIW (EB2)は雇用主スポンサーがなくても、自己申請を行うことができます。特に大学の正社員でない研究者など、これらのカテゴリーで自己申請することできます。


第2・3優先枠の申請は、3段階の申請過程を経ます。(1) まずは労働局に当該ポジションに対する平均賃金を申請し、次に地元のメディアに求人広告を掲示して、米国市民や永住権保持者で最低資格条件を満たす人材がいないことを証明できれば、労働局に外国人労働許可申請 (Labor Certification Application) の申請を行います。(2) これが承認されたら、次に雇用主が移民局にスポンサー申請を提出します。(3) 最後に本人と家族による永住権の申請を移民局に提出します。日本国籍者など、永住権の順番待ちのない人であれば、雇用主スポンサー申請と永住権申請を同時に提出することもできます。NIWは第2優先枠ではありますが、Labor Certification の労働局の審査を免除されるので、この書類を直接移民局に提出します。第1優先枠の人は、労働局への外国人労働許可申請がないので、移民局に雇用主スポンサー申請と個人の永住権の申請を同時に提出することができるため、書類に問題がなければ、通常は比較的早く(4~8ヶ月ほど)審査がおわります。


執筆:大蔵昌枝弁護士
Masae Okura | Partner
Taylor English Duma LLP
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About Writer

大蔵昌枝弁護士

東京外国語大学中国語学科卒業。サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールのJ.D./MBA ジョイント・ディグリー課程卒業、法律博士 (Juris Doctor) および経営学修士 (MBA) の学位を授与される。在学中は、会計監査、法律文書レビュー、外国人学生の移民法関連アシスタント業務などに従事。
2004年にジョージア州弁護士資格取得。
Ogletree, Deakins, Nash, Smoak & Stewart, P.C. 法律事務所、Baker, Donelson, Bearman, Caldwell & Berkowitz, PC 法律事務所、フィッシャー・ブロイルズ法律事務所に勤務の後、2017年8月にTaylor English Duma LLP法律事務所にパートナーとして移籍。雇用法・移民法など日系企業に関わる法律相談。日系のメディアに雇用・移民法記事を掲載。移民法講義やセミナー講師を務める。

著書: アメリカの陪審制度と日本の裁判員制度、陪審制度の発展と意義 (出版社:エディックス ) ”日本図書館協会選定図書” "The American Jury and the New Japanese Judicial System" The Historical Development of the U.S. Jury System, February 10, 2011